ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー詩集 中原中也訳 谷間の睡眠者

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谷間の睡眠者


これは緑の窪、其処に小川は
銀のつづれを小草をぐさにひつかけ、
其処に陽は、矜(ほこ)りかな山の上から
顔を出す、泡立つ光の小さな谷間。

若い兵卒、口を開あき、頭は露むき出し
頸は露けき草に埋まり、
眠つてる、草ン中に倒れてゐるんだ雲そらの下もと、
蒼ざめて。陽光ひかりはそそぐ緑の寝床に。

両足を、水仙菖(すゐせんあやめ)に突つ込んで、眠つてる、微笑むで、
病児の如く微笑んで、夢に入つてる。
自然よ、彼をあつためろ、彼は寒い!

いかな香気も彼の鼻腔にひびきなく、
陽光ひかりの中にて彼眠る、片手を静かな胸に置き、
見れば二つの血の孔あなが、右脇腹に開あいてゐる。
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