ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー詩集 中原中也訳 わが放浪


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わが放浪


私は出掛けた、手をポケットに突つ込んで。
半外套は申し分なし。
私は歩いた、夜天の下を、ミューズよ、私は忠僕でした。
さても私の夢みた愛の、なんと壮観だつたこと!

独特の、わがズボンには穴が開あいてた。
小さな夢想家・わたくしは、道中韻をば捻つてた。
わが宿は、大熊星座。大熊星座の星々は、
やさしくささやきささめいてゐた。

そのささやきを路傍みちばたに、腰を下ろして聴いてゐた
あゝかの九月の宵々よ、酒かとばかり
額ひたひには、露の滴しづくを感じてた。

幻想的な物影の、中で韻をば踏んでゐた、
擦り剥けた、私の靴のゴム紐を、足を胸まで突き上げて、
竪琴(たてごと)みたいに弾きながら。
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