ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー詩集 中原中也訳 夕べの辞


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 夕べの辞


私は坐りつきりだつた、理髪師の手をせる天使そのままに、
丸溝のくつきり付いたビールのコップを手に持ちて、
下腹突き出し頸反らし陶土のパイプを口にして、
まるで平たひらとさへみえる、荒模様なる空の下。

古き鳩舎に煮えかへる鳥糞うんこの如く、
数々の夢は私の胸に燃え、徐かに焦げて。
やがて私のやさしい心は、沈欝にして生々なま/\し
溶とろけた金のまみれつく液汁木質さながらだつた。

さて、夢を、細心もつて嚥(の)み下し、
身を転じ、――ビール三四十杯を飲んだので
尿意遂げんとこゝろをあつめる。

しとやかに、排香草ヒソフや杉にかこまれし天主の如く、
いよ高くいよ遐(とほ)く、褐色の空には向けて放尿す、
――大いなる、ヘリオトロープにうべなはれ。
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