ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー詩集 中原中也訳 七才の詩人


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七才の詩人


母親は、宿題帖を閉ぢると、
満足して、誇らしげに立去るのであつた、
その碧い眼に、その秀でた額に、息子が
嫌悪の情を浮べてゐるのも知らないで。

ひねもす彼は、服従でうんざりしてゐた
聡明な彼、だがあのいやな顔面痙患つてをり、
その目鼻立ちの何処となく、ひどい偽嬌を見せてゐた。
壁紙が、黴びつた廊下の暗がりを

通る時には、股のつけ根に拳こぶしをあてがひ
舌をば出した、眼めんめをつぶつて点々ぼちぼちも視た。
夕闇に向つて戸口は開いてゐた、ラムプの明りに
見れば彼、敷居の上に喘いでゐる、
屋根から落ちる天窗(てんまど)の明りのその下で。
夏には彼、へとへとになり、ぼんやりし、
厠かはやの涼気のその中に、御執心にも蟄居(ちつきよ)した。
彼は其処にて思念した、落付いて、鼻をスースーいはせつゝ。

様々な昼間の匂ひに洗はれて、小園が、
家の背後うしろで、冬の陽光ひかりを浴びる時、彼は
壁の根元に打倒れ、泥灰石に塗まみれつゝ
魚の切身にそつくりな、眼めを細くして、
汚れた壁に匍(は)ひ付いた、葡萄葉ぶだうばの、さやさやさやぐを聴いてゐた。
いたはしや! 彼の仲間ときた日には、
帽子もかぶらず色褪せた眼めをした哀れな奴ばかり、
市場とばかりぢぢむさい匂ひを放あげる着物の下に
泥に汚れて黄や黒の、痩せた指をば押し匿し、
言葉を交すその時は、白痴のやうにやさしい奴等。
この情けない有様を、偶々(たまたま)見付けた母親は
慄へ上つて怒気含む、すると此の子のやさしさは
その母親の驚愕に、とまれかくまれ身を投げる。
母親だつて嘘つきな、碧い眼めをしてゐるではないか!

七才にして、彼は砂漠の生活の物語ロマンを書いた。
大沙漠、其処で自由は伸び上り、
森も陽も大草原も、岸も其処では燿かがやいた!
彼は絵本に助けを借りた、彼は絵本を一心に見た、
其処にはスペイン人、イタリヤ人が、笑つてゐるのが見られるのだつた。
更紗(サラサ)模様の着物著た、お転婆の茶目の娘が来るならば、
――その娘は八才で、隣りの職人の子なのだが、
此の野放しの娘奴めが、その背に編髪おさげを打ゆすり、
片隅で跳ね返り、彼にとびかゝり、
彼を下敷にするといふと、彼は股もゝに噛み付いた、
その娘、ズロース穿いてたことはなく、
扨、拳固でやられ、踵かかとで蹴られた彼は今、
娘の肌の感触を、自分の部屋まで持ち帰る。

どんよりとした十二月の、日曜日を彼は嫌ひであつた、
そんな日は、髪に油を付けまして、桃花心木アカジユの円卓に着き、
縁がキャベツの色をした、バイブルを、彼は読むのでありました。
数々の夢が毎晩寝室で、彼の呼吸を締めつけた。
彼は神様を好きでなかつた、鹿ノ子の色の黄昏たそがれに場末の町に、
仕事着を着た人々の影、くり出して来るのを彼は見てゐた
扨其処には東西屋がゐて、太鼓を三つ叩いては、
まはりに集る群集を、どつと笑はせ唸らせる。
彼は夢みた、やさしの牧場、其処に耀かゞよふ大浪は、
清らの香かをりは、金毛は、静かにうごくかとみれば
フツ飛んでゆくのでありました。

彼はとりわけ、ほのかに暗いものを愛した、
鎧戸(よろひど)閉めて、ガランとした部屋の中、
天井高く、湿気に傷む寒々とした部屋の中にて、
心を凝らし気を凝らし彼が物語ロマンを読む時は、
けだるげな石黄色の空や又湿つた森林、
霊妙の林に開く肉の花々、
心に充ちて――眩暈めくるめき、転落、潰乱、はた遺恨!――
かゝる間も下の方では、街の躁音さやぎのこやみなく
粗布あらぬの重ねその上に独りごろんと寝ころべば
粗布あらぬのは、満々たる帆ともおもはれて!……
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今日の花便り 「藪蘭」

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今日は過ごしやすい陽気でしたが仕事が終わって家に帰ったら風呂にも入らず寝てました。まあ痒くて眼が覚めたので入浴しましたけど何か疲れてますね。

藪蘭 Big blue lilyturf
属名の学名「Liriope(リリオペ)」は、ギリシア神話に登場する美少年ナルキッソスの母であるリリオペの名前にちなむ。和名の「藪蘭(ヤブラン)」は、この植物がやぶに生えて、葉がランの葉に似ていることに由来するといわれている。英語では「Big blue lilyturf」、「Lilyturf」、「Border grass」、「Monkey grass」などと呼ばれてる。

夏~秋の花。花色は紫、青、藤色、白。

ヤブランの花言葉
花言葉「隠された心」は、葉の間に隠れるようにして咲く、ひかえめな花姿にちなむともいわれている。「忍耐」の花言葉は、耐寒性、耐暑性が強く、日陰でも丈夫に育つことに由来するといわれている。
 
「隠された心」「忍耐」
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ヤブラン誕生花
9月20日、10月6日、10月26日
 
ヤブランの種類
ヤブラン属は5種が知られており、日本にはヤブラン、ヒメヤブラン、コヤブランの3種が自生している。園芸品種では葉に黄色の縦縞が入る斑入りのものが人気で最も流通している。
 
ヤブランの季節・開花時期
旬の季節: 夏~秋
開花時期: 8月~10月
 
名称・原産地
科・属名: キジカクシ科ヤブラン属
学名: Liriope muscari
和名: 藪蘭(ヤブラン)
別名: リリオペ、山菅(ヤマスゲ)、サマームスカリ
英名: Big blue lilyturf, Lilyturf, Border grass, Monkey grass
原産地: 日本、中国、朝鮮半島、台湾

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心が疲れると些細なことで思いやりがいつしか憎しみに姿を変えている。不思議だな、時間が経てば憎しみが思いやりに戻る。これは愛するが故じゃないよ、身勝手な思い込みで怒ってるだけだよ。それが分かってるのに最初から我慢出来ないのか?

山を越え
海を越えて
愛は
その旅路を見出す
トマス・パーシー

石川啄木歌集「一握の砂」より


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大海にむかひて一人
七八日
泣きなむとすと家を出でにき

今日の花便り 「秋海棠」

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私本当は人混みが好きじゃないんです。ですから花を観るのも人が少ない日を選んだり早朝の散歩が良いんです。

秋海棠 Hardy begonia
花名のシュウカイドウは、中国名「秋海棠」の音読み。バラ科の海棠(カイドウ)のような花を秋に咲かせることからこの名がついたという。英語では「Hardy begonia(耐寒性のあるベゴニア)」と呼ばれている。属名の学名「Begonia(ベゴニア)」は、この花を紹介したフランスの植物学者シャルル・プリュミエ(1646~ 1704)が、フランス領アンティル諸島総督ミシェル・ベゴン(Michel Begon)の名前にちなんで名づけた。ミシェル・ベゴンが当地の植物採集者として、シャルル・プリュミエをルイ14世に推薦したことによる。

夏~秋の花。花色はピンク、白。

シュウカイドウの花言葉
花言葉の「恋の悩み」は、下方に垂れ下がり、うなだれた状態で花をつける様子がどことなくさびしげに見えることにちなむ。「片想い」の花言葉は、ハート形の葉の片方が大きくなること(左右非対称)に由来するといわれている。

「恋の悩み」「片想い」
 
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シュウカイドウ誕生花
8月29日、9月10日
 
ベゴニアの仲間
ベゴニアの仲間のシュウカイドウ。人家周辺の木陰などに自生的に生育しているが、日本原産ではなく、江戸時代初期に中国から渡来した帰化植物。ベゴニアはシュウカイドウ属(別名:ベゴニア属)の植物の総称ですが、シュウカイドウは古くから定着していたためベゴニアとは呼ばれない。
 
シュウカイドウの季節・開花時期
旬の季節: 夏~秋
開花時期: 8月~10月
 
名称・原産地
科・属名: シュウカイドウ科シュウカイドウ属(別名:ベゴニア属)
学名: Begonia grandis
和名: 秋海棠(シュウカイドウ)
別名: 瓔珞草(ヨウラクソウ)
英名: Hardy begonia
原産地: 中国、マレー半島

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彼が聞いて来ないから俺が聞いて良いよと答えた。「何故?唯観てるだけで何もしない、何一つ思い出に残る輝石も得ようとしない、全然楽しそうな顔もせずに誰かの元に行って喋る事もない」
俺は答えた「楽しんでるよ、あの人達の声や顔を見てね。それが俺にとっての思い出なのさ」

恋は 
人間の心を燃やし尽くし
恋は 
その意志に火をはなつ
恋は人を 
ぬかるみに陥らせ
恋は運命の矢に 
苦い毒をぬる
ジョン・メイスフィールド
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英人の単車魂へようこそ!

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